印刷用語

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印刷所で使われる専門用語

クライアント(依頼者)から「校了を得た印刷用データ(デザイン原稿)」は印刷所へ渡します。印刷所では、この校了済みデータを元に「製版」を行います。

「有版式」と「無版式」2タイプの印刷方式

有版式」とは、「印版(いんばん)・ハンコ」が必要な印刷方式です。平版印刷・凸版印刷・凹版印刷・孔版印刷の4版式があり、特に「平版印刷」の代表である「オフセット印刷」はコスト安で仕上がりが美しいため、長年DTPの主流として印刷物の大量生産に使われています。

無版式」とは、印版(ハンコ)が不要な印刷方式です。オンデマンド印刷やデジタル印刷インクジェット方式・トナー方式)は、会社やコンビニ、家庭用プリンターとして身近にあり、PCなどのデバイス上でデータ化した画像を直接コピー用紙などにプリントアウトできます。

印刷業界では通常、有版式の「オフセット印刷」が主流で様々な印刷用語があります。順に解説いたします。

入稿(にゅうこう)とは?

印刷業界における入稿とは、印刷用の原稿(デザイン・版下データ)を印刷会社に渡すこを指します。

「入稿」と「出稿」の違いは?

原稿を「受け取る側」の印刷会社からすると、原稿が入るので「入稿」と呼び、

原稿を「渡す側」の依頼者からすると、手元の原稿を出すので「出稿」と呼びます。

一般的には便宜上この2つは区別せずに「入稿」と呼ぶ場合が多いです。

版下(はんした)とは?

版下とは、印刷工程の元となる「校了を得た完全原稿」をいいます。

プレス(有版式)の大型印刷機に設置する版(ハンコ)は、版下データをもとに作成されます。

製版(せいはん)版面(はんめん/はんづら)原版(げんぱん)とは?

製版とは、印刷用の版面を製作する工程全般を指し、使用する版式に合わせた原版を作ります。

版下の写真・図柄・文字などを「分解 → 撮影 → フィルム化 → 修正」して下版に備えます。下版前のため修正可能な工程です。

版には、オフセット版・活字原版・写真凸版・石版・グラビア版など複数種類があり、シール印刷や厚盛りインキ印刷、長い印刷物など用途に合わせて製版します。

組版(くみはん)とは?

組版とは、活字をみ合わせた作りが「語源」で、版下の指示通りに文字や図版など各要素をページに配置して紙面を構成する工程の総称です。組み付けとも呼びます。

かつて「活版印刷(アナログ的な凹凸版で圧をかける印刷方式)」が主流だった頃の組版は、書体・文字サイズ・行送り・詰め物・罫線などの各要素を詳細に入力し読みやすく版を組み合わせる職人技の業務でした。現代ではデジタル組版が一般的でコンピュータを使用してページに配置します。

下版(げはん)とは?

下版とは、オフセット印刷の場合では「版下」や「完成した製版フィルム」を印刷工程へ下ろす(まわす)ことを指し、活版印刷の場合では「組版」を下ろして印刷機へまわすことを指します。その時々の印刷状況により下版内容は変わります。

また、この段階で印刷の位置決め、インキの供給準備、印刷用紙の確保などの準備を行います。

下版後は、印刷するための刷版を作るため修正や変更は一切できません。ここで修正依頼があれば最初に戻りやり直します。

刷版(さっぱん)とは?

刷版とは、印刷機に取り付ける(大きいハンコ)を指し、オフセット印刷(主に平版印刷)に必要な C・M・Y・K(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック) 各色の版が用意されます。

プレート状のため単純に「」と呼ぶこともあり「印版を生成する工程自体」を刷版と呼ぶこともあります。印刷前の最後の工程です。

刷版の材料「PS版」とは?

材質はPS版と呼ばれる薄いアルミ板で印面に水と油の反発を利用した化学処理を行い、印刷用の油性インキ付ける画線部親油性付着けない非画線部親水性になるよう生成します。

印面の生成方法「フィルム方式」と「CTP方式」の違いは?

刷版の作成方法は「旧来型」と「現代主流型」の2つがあります。

  1. 旧来型は「フィルム方式」で、色分解した各色データを透明フィルムに出力し生成されたフィルムを、PS版に焼き付けて(感光させて)仕上げます。
  2. 現代主流の「CTP(Computer to Plate)方式」では、フィルム出力の工程をデジタル化しフィルムなしでデータから直接、PS版に焼き付けます。

▲ 引用:YouTube【製版課】CTPによる刷版出力

色校正(いろこうせい)色校(いろこう)とは?

色校正とは、印刷所へカラー原稿が入稿されたときに印刷所において本番の印刷機で使う刷版を作成して実際に刷る紙へ「テスト印刷」する本機色校正を指し「モニターに映し出された光の色」と「紙面に刷ったインキの色」とを見比べて色味の精度の差異を調整します。色校、または製版校正とも呼びます。

「色校正紙」をクライアント側へ提出する必要性は?

依頼者(お客様・クライアント)へ色校正紙を出して色校いただくパターンは、時間とコスト(別途料金)が必要なため、厳密な色精度が要求される「メーカー製品カタログや、通販冊子、写真集など」特別な場合にのみ行われるのが一般的で、通常は「プリント校正」まで、もしくは簡易校正で校了を得ます。

「本機色校正」と「簡易校正」の違い

引用:YouTube【 サービス 】 簡易校正 と 本機色校正 の違いを知って正しく注文しよう!
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印刷の流れ

製版校正を終えると次は、本印刷で使う「PS版(刷版)」を出力し、オフセット印刷機の「ローラー(版胴)」にPS版を巻き付けて印刷スタートです。「インキローラー」を回転させると「PS版の絵柄部分」にインキが付き、そのインキは「ブランケット胴」に移り、用紙に転写(印刷)となります。

印刷物を作るこれらの工程はすべて主要なステップで細心の注意を払って行われます。デジタル印刷技術の発展により、これらの確定的な工程はより迅速かつ効率的に進化しています。

現代ではPC上でデザインがキレイに出来れば良い制作者との考えが一般的で、単にCMYKカラーでデザインさえしておけば普通に印刷されるため印刷工程を知らない場合が多いです。

DTPソフトのクオリティが充実している現代では「デザイン制作→製版→刷版」までの工程がソフト上で完全にコントロールされ微調整も可能ですので、Illustrator・Photoshop・InDesignなどのソフトが使えると誰もがDTPファイルを作れ結果的に、ネット印刷通販などの印刷会社への配慮のないファイルが増えて、印刷職人の修正作業も増えています。

このような裏修正は依頼者側には見えませんが、最低限の流れを理解しておくと思わぬトラブルを回避できる上に意思疎通もスムーズになります。

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