Illustratorファイルの「書体の形状を維持」したまま「PDF保存」したい時
今回は依頼主から、Illustratorで作成したデザインを「フォントを維持」した状態で「PDF形式ファイル」にして送って欲しい、と要求された場合についての対処法をまとめていきます。
ご依頼の”PDF形式データ”の保存条件は下記の通り。
- フォント(書体)は、コピー・ペーストができるように”アウトライン化”はせずに「テキストデータとしての機能」が保持されたPDFファイルであること。
- フォントの「見た目」はデザイン通りにキープされていること。
双方のPC環境(下記)を踏まえながら考えてみることとします。
- 制作側の環PC境は?→ MacOS X・Illustrator CS6、および CC
- 相手側のPC環境は?→ Windows 7 Home Premiumで最新版 Acrobat Readerがインストール済みの状態
- 相手側のフォント環境は?→フォント環境には「制作側が使用しているフォント」がインストールされていない
フォント(書体)を「埋め込む」とライセンス規約で問題ないか?
「フォント指定を維持したまま」PDFを依頼主に閲覧いただくには基本的にフォントすべてを「埋め込み」にしてから、PDF形式に書き出す必要があります。
そうすることで、指定したフォントがないPC環境であっても”フォント形状そのままのテキストデータ”が表示されるのです。
しかし、使用した有料フォント(新ゴなど)の「フォントファミリーを埋め込む」ことをすれば”ライセンス上”の規約違反になるのではないか?と心配にはなりますよね。
ところがIllustratorで「別名保存 」→「 PDF変換」した際には、フォント情報はすべて自動的に埋め込まれる設定となっているのです。
※逆に埋め込みを拒否できる設定がありません。
中には、フォント制作者の意向によって”プロテクト設定”がなされているため「埋め込み拒否するフォント」もあるので、埋め込めないフォントが出てきた場合は他のフォントに差し替える必要があります。
とはいえ、逆に「埋め込みを許可するフォント」であれば埋め込み拒否ができない矛盾も出てはきます。
さらに「埋め込みたくないフォント」があった場合には、Illustratorから”PDFプリンタを使ってPDF書き出し”をすれば出来るらしいのですが、Mac OS X 10.6以降(辺り?)からは、それさえ”PDFプリンタが使えない仕様になっている”ようで無理のようです。
また、書き出し後に「フォント形態が埋め込まれているのか?」との確認をしたい場合は、
「Adobe Acrobat(アクロバット)」もしくは「Adobe Reader(リーダー)」を使って「ファイル 」→「 プロパティ」 →「 フォント」と進み、フォント名の後ろ側の表示が「埋め込みサブセット」であれば「埋め込まれたフォント」と認識できるので確認してみましょう。
ちなみに”フォントメーカー”の中でも「モリサワフォント」であれば、すべて「PDFへのフォント埋め込みOK」ですから問題ありません。
他のフォントメーカーの場合も詳細な使用許諾に関して、この機会に是非検索してみてください。
「+DESIGNING vol.40」サイトには国内の主要フォントメーカーの使用許諾が一覧で掲載されていますので販売情報も含めて参考にされると良いかと思います。