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Illustratorで作成したファイルを「EPSで保存する」とどうなる?
Illustrator(AI形式)のファイルは「EPS形式」で保存すると異様に重くなります。保存時間も”AI形式での保存”に比べると非常に遅いのです。
- 例えば「2.5MB」のAIファイルを「EPS保存」してみるとデータ量は「105MB」となって42倍に、はね上がってしまいました。
- 配置していた画像はデータ容量を最小限にしておくために、あえてリンク画像にしていましたから重くなる要素が見当たりません。
- そもそも、このAIファイルをEPS変換する理由は「 Distiller(AdobeのPDF系ソフト)」で開き直して軽いPDFファイルを生成したかったからです。Distillerで開くための”橋渡し役”としての「EPSファイル」が欲しかったのです。
(※AI形式ファイルの「EPS変換方法」詳細は、前記事【 Illustratorを軽くPDF保存 】や【 IllustratorをWeb用にPDF保存 】を参照ください。)
このように重くなった「EPSファイル」を Distillerで「PDF保存ファイル」に変換したところで軽く生成されるはずがありません。
「EPS形式」で保存すると、どうしてこんなに重くなるのでしょう。
EPS( Encapsulated Post Script )形式データの中身は?
実はEPSデータには「ベクターデータ(文字・図形など)」と「ビットマップデータ(画像)」の全情報が埋め込まれています。
- Illustratorデータを「EPSデータ」に変換すると、Illustratorに依存していた編集機能である「ラスタライズ効果」や「透明」の分割・統合・プリセット、アウトライン化、「解像度」設定など様々な効果が埋め込まれ「Illustrator依存の効果」から開放され独立します。(効果は埋め込みにより多少は「サイズダウン」される)
- Illustratorに配置していた「リンク画像」はあくまで「表示用」ですので、余程たくさんのリンク画像が配置されていない限りIllustratorとしては重くはなりませんが、「EPS形式」変換後は「画像データの容量分」すべて単純加算されます。元データが「埋め込み」でも「リンク」でも「EPS変換」したとたん同じ容量になります。
このように複雑な相反するベクターとビットマップ両方の機能や情報が組み合わされ生成されます。そのため他の複数ソフトでの編集作業も可能となりが「EPS形式データ」が重くなる原因は ”こういった機能の持つ汎用性(はんようせい)”によるものでした。
「PS形式」へデータを書き出し保存した場合は?
PostScript形式を経由する別の方法もあります。
ざっくりいうと、
AI形式ファイルから「PostScript形式(=PS形式)」にデータ変換後「 Distiller 」でファイルを開き直し「PDF保存」する方法です。
- 【 Illustrator 】ファイル → プリント → プリンタ:Adobe PostScript・PPD:adobe pdf 設定 → psファイルを書き出し→ 【 Distiller 】開く → PDF保存
この手順で AIファイルからPS形式へ書き出して保存したファイルを、先ほどのEPSファイルと比較したところ、データ容量に大差はなく、ほぼ同量と確認しました。
ただし、仮想プリンタでの「PS形式」変換は「詳細設定」ができるため、カスタマイズ次第で多少なりとも容量を軽くすることは出きます。
さいごに
サイズダウンするためにIllustratorから以上のようなデータ変換をする場合は、あらかじめ配置していた画像をPhotoshopでサイズダウンしておく必要があるようです。