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Illustratorの保存形式「ai」「eps」「ait」「pdf」「svg」について
Illustratorで作成したファイルは、ハードディスクやメモリカードなどの記録媒体に「目的の用途に合わせたファイル形式」を選んで保存することができます。
[ ファイル ]→[ 別名を保存... ](⌘+shift+S)のドロップダウンリストに表示される「さまざまなファイル形式」から最適な拡張子を選択しファイル名をつけて保存します。
今回は「ファイル」→「別名で保存」にて選択可能な範囲での各種「ファイル形式(拡張子)」の特徴や使い道について解説していきます。
「別名で保存」と「複製を保存」の違いは?
その前に「別名で保存」と「複製を保存」について触れておきたいと思います。
「別名で保存」とは
「別名で保存」は、「Aという名称」のアートワークを修正して「Bという名称」で保存した場合、作業中のファイルは「Bという名称」のアートワークになり、元(修正前)の「Aという名称」のファイルに変更はありません。
「複製を保存」とは
「複製を保存」は、「Aという名称」のアートワークを修正して「Bという名称」で保存した場合に、作業中の「Aという名称」のファイルはそのままで、別途「Bという名称」のファイルが出来上がります。
使い分けは?
使い分けは人それぞれですが例えば、作業中は軽いデータで軽快に編集するために画像はリンクしたまま「Illustrator形式(.ai)」で作業するとします。
最終的に入稿用の「IllustratorEPS形式(.eps)」を作る時に、”画像の埋め込みとフォントのアウトライン化”して「複製を保存」で「IllustratorEPS形式(.eps)」を作ると、アウトライン化する前の「Illustrator形式(.ai)」も同時にとっておけます。
逆パターンで「Illustrator形式(.ai)」を「IllustratorEPS形式(.eps)」にファイル名を変えて「別名で保存」し、そのファイルをIllustratorで開け直して”画像の埋め込みとフォントのアウトライン化”をして「保存」し直すこともできます。
.ai形式 とは
Illustratorで編集するためのフォーマットで Illustratorの持つ機能をすべて保存できる固有の形式です。
アートワークを「制作したIllustratorのバージョン」と同じバージョン、もしくは下位バージョンで開くことができます。
ただし、10.0以降は保存時に「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れると、PDFファイルとしても扱えますので「データ配信に使われるAcrobat」での展開も可能になります。
.eps形式 とは
Illustrator以外のソフトでも展開できる汎用の形式で、ポストスクリプトに準拠した記述のデータ形式です。
完全再現とはなりませんが、EPS形式に対応しているソフトであれば展開は可能です。
ただしIllustrator独特のアピアランス効果やレイヤーが含まれていれば、その機能が排除されることはあります。
出稿の際に印刷業者から「EPS形式」保存を指定されることがありますが、その理由は、EPS形式が「PostScript(PS)プリンタに対応したセッター」で出力するためのフォーマット(印刷の標準形式)であるためです。
印刷機で出力しやすい形式ですので以前は今とは違って印刷業者に出稿するデータを「EPS形式」保存することが基本でした。
.ait形式 とは
自身がよく使う設定で作成したデータを「テンプレート(ひな形)」保存する形式。
新規ドキュメントを立ち上げた時に「ファイルメニュー< テンプレートから新規作成」でテンプレート保存した設定(ドキュメントサイズ、解像度、フォントや線幅、オブジェクト塗り、各パレット等)を呼び出して同じ状態からデザインし始めることができるので効率的です。
.pdf形式 とは
電子文書の標準形式で、Illustratorから直接「Acrobat PDF形式」を作成するためのフォーマットです。
「Illustrator編集機能を保持する」にチェックを入れないで保存するとデータは軽量化されますが、後でIllustratorからは開かなくなります。
Acrobat PDF形式の保存オプションを見ればわかりますが、PDF保存は必ずしもAI保存と同じではありません。
また、リンク配置した画像はすべて自動的に埋め込まれ、「圧縮オプション」で設定した解像度を超えている画像はダウンサンプルで再サンプルされ、解像度が低くなります。
.svg形式 .svgz形式 とは
「SVG形式」は、Web上で使えるベクタ画像形式で Illustrator形式に近い表示ができます。
SVG形式に対応している他のソフトで使う特殊な形式ですから、それ以外でこの形式を使うことはまずありません。
「SVGZ形式」は圧縮し軽量化したデータです。
さいごに
アートワーク編集中はファイル形式によって機能が制限されることはありませんが、保存時は適切なフォーマットを選択する必要があります。
不適切なフォーマットを選択すると、場合によってはすべての機能が継承されないことがあるのでご留意ください。
以上のすべてに共通しているのは”ベクター形式”という「可逆圧縮(かぎゃくあっしゅく)」の特性によって、拡大・縮小しても画質が美しく保たれ、ファイルサイズが小さく(軽く)できることです。