モードとは?
モード(カラーモード)とは、画像ファイルのカラー領域(wiki参照:色空間)のことで色域を指します。Photoshopでモードを設定をするとき、用途との互換性を考慮します。
例えば、WEB用などデジタル画像として使うのであれば「RGBモード(光の三原色)」、印刷用など入稿データであれば「CMYKモード(インク原色)」に設定します。
Photoshopでモード変換するには?
画像を元のモード(ソースモード)から 別のモード(ターゲットモード)に変換します。
Photoshopで画像を開き、メニューから[イメージ]→[モード]→[リストの中から選択]
各モードの特徴や用途を解説します。
RGB カラー「Red, Green, Blue」(1,670万色〜)とは?
【特徴】
- R(赤/レッド)、G(緑/グリーン)、B(青/ブルー)の光の3原色である「3つのカラーチャンネル」で構成されています。
- RGB各色に 0(ブラック)〜 255(ホワイト)までの「明るさの値」を割り当て1,670万以上もの色表現を再現します。
- 画像を他のカラーモードへ変換した後でも画質の劣化は最小限になるよう設計されています。
- Photoshopのすべての編集機能が使える「基本モード」です。それ以外のカラーモードでは使えない機能があることを考えると「モード変換のタイミングは編集後」にした方が良い場合もあります。
【用途】
- ディスプレイ デバイス(コンピュータのモニター、スマートフォン、テレビなど)の色の表示方法と同じです。
- Web、ゲーム、映像、デジカメ、スキャナの多くや家庭用インクジェットプリンタでの出力で使われます。
CMYK カラー「Cyan, Magenta, Yellow, Key/Black」(4色刷り)とは?
【特徴】
- C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色分解「4つのカラーチャンネル」で構成されています。
- オフセット印刷で使用するプロセスインキのパーセント値に基づいて、CMYK各色に0〜100%の値を割り当て編集します。
【用途】
- オフセット印刷や印刷用インキを使用する機器で出力するためのカラーモードです。
- 主に印刷用の入稿データとして使用しますが、入稿先のインキや印刷機、製版時の条件によって仕上がる色は多少、想定した色とは異なります。
【留意点】
- 画面上で見る「デジタルな光」と印刷された「物理的なインキ」では根本的な色の再現方法が違うので画面の色より少しくすんだ色合いで印刷されます。
- 色の要素をCMYKの4色に分版して印刷するためのカラー値を計算し再構成するので蛍光色のような特色は「RGBカラー」や「Labカラー」に比べると大きく色表現が変わることがあるので注意が必要です。
- 他のカラーモードとCMYKカラーとの間で繰り返しモード変換を行った場合には、その都度カラー値の再計算が行われるため色の精度は落ちていきます。モード変換は最小限にとどめます。
Lab カラー(人が認識できる全色の再現)とは?
【特徴】
- 輝きの要素「明度」(L)、緑から赤への色構成要素(a)、青から黄への色構成要素(b)の3つのチャンネルで構成され、人間が認識できる色の範囲をすべて数値化します。
- 色領域の「輝き要素(L)」を0〜100で表し「緑から赤への色構成要素(a)」と「青から黄への色構成要素(b)」を-127〜128で設定し「明度と色相を分離」して色調を編集・表現するので色調補正するときに便利です。
- モニターや、デスクトッププリンタ、デジカメなどのデバイスに「色の見え方」を定義し再現します。「特定の色の要素がどの程度必要か?」という定義とは異なるデバイスインディペンデント・カラー(デジタル機器に依存しない色)によるカラーモデルです。
- 8bit〜16bit/チャンネルの編集が可能で、あるカラースペースから、別のカラースペースに変換する時などに「Labモードをカラー基準」として使用するので、最初から最後までLabモードで画像編集するということは通常ありません。
【用途】
- 主に色調補正や分析に使用します。色の変換や修正、特定の色空間での編集や解析などにも。
マルチチャンネル とは?
【特徴】
- チャンネルごとに「256階調のグレースケール」の版に変換したいときに選択します。
- 通常のカラーモードとは異なり各チャンネルが単独で存在し、RGB・CMYKなどのカラーモードから独立したチャンネルとして画像を保存します。それらのチャンネルを組み合わせて画像を再構築することはありません。
- 特殊な印刷物で使用されますが、マルチチャンネル画像をレイアウトに貼ることはできません。
- 保存形式は、Photoshop、ビックドキュメント(PSB)、Photoshop 2.0、Photoshop 汎用、Photoshop DCS 2.0 の各形式です。
【用途】
- 主に専門的な画像編集や色の分析に使用されます。高度な画像解析や特定の色分離のための印刷プロセスなど。
- 特定の色情報だけを取り出したいときや、特定のカラーチャンネルを編集したいとき、特定の用途のためのカスタムカラーチャンネルを持つ画像を作成したいときに。
- さまざまなカラーチャンネルを複数組み合わせて複雑なカラー効果を表現したいときにも。
グレースケール(白から黒のグレー)とは?
【特徴】
- 白黒画像を表示するためのモードで、カラー情報を持たない「256階調のグレースケール(黒と白のみの階調)」で表現します。
- そのため「チャンネルは1つ」だけになり、0(ブラック)〜255(ホワイト)までの「明るさ(輝度情報・明暗)の値」を割り当てて表示します。
- このモードでは「フィルタ機能」は利用できますが「カラー情報」に関する機能は利用できません。
【用途】
- 主にモノクロ画像やテキストのスキャン、および制作、モノクロ印刷の作成に使用されます。
ダブルトーン とは?
【特徴】
- ダブルトーンは2色の掛け合わせで表現しています。通常、1色が画像の明るい部分を、もう1色が暗い部分を表現します。
- ダブルトーンを設定するには、モードを1度「グレースケール」に変換し色を破棄した状態からモードを「ダブルトーン」選択します。次に表示されるダイアログボックスで版数や色(インキ)の分布などの詳細設定をします。通常「インキ1」から「インキ2」… と順に濃い色からクリックして色調整します。
- ダブルトーンに設定した画像を「他のソフトに貼り込んで分版」する際は、そのソフトにフォトショップで設定したインキ名と同じ名称の特色インキが設定されていないと正しく分版されません。(PANTONEやDICを使うときも名前のどこかにスペース等が入っているだけで違う名前と認識されるので注意が必要です。)
- 「プロセスカラーで分解」する場合はシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックと名前を付け「特色インキを使用」する場合は必ず同じ名前を設定してください。
【用途】
- 高品位モノクロ写真印刷を行う際や、そのアートワークの作成時に使用されます。
- 写真に色のバリエーションを加えたい時や、インキの使用量を節約しつつ特定の色調やムードを持った印刷物を作成したい場合に。
モノクロ2階調 とは?
【特徴】
- 白と黒の2色のみで画像を表現します。グレースケールの階調は存在しません。
- 1ピクセルにつき1ビットの情報量となり、非常に小さなファイルサイズになります。
- スキャナでロゴ等の「白黒画像」を取り込んだときは、モノクロ2階調になっている場合が多いです。
- モノクロ2階調のままでは「画像への編集機能が制限される」ため通常、編集段階では「他のモードに変換」して作業します。
- 「カラー画像」を「モノクロ2階調」に変換するには「グレースケール」に変換してから「モノクロ2階調」に変換します。
【用途】
- 線画などシンプルなグラフィックやテキストのスキャンに使われます。
- テキストや図面などのシャープでクリアなエッジを持つ画像の作成に適しています。バーコード作成にも。
- 非常に小さいファイルサイズが必要な場合、例えばWeb上のシンプルなアイコンやシンボル、ロゴなどに。
- 高いコントラストが必要な場合や、色の情報が不要な場合に。
インデックスカラー(最大256色)とは?
【特徴】
- カラー画像を256色の色数に制限します。これは「GIF」や「PNG-8形式」および「多くのマルチメディア アプリ」が対応している標準的なカラー数で8bit/チャンネルのみ編集可能です。
- インデックスカラーへの変換でカラー情報が削除されるためファイルサイズは小さくなります。
【用途】
- Webやゲームなどファイルサイズを制限する場合や、特定の色のみを使用したい場合に。GIF形式などの低色数画像制作に使用されます。
8Bits/チャンネル・16Bits/チャンネル・32Bits/チャンネル とは?
- ビット数とは「ピクセル深度」または「カラー深度」とも呼ばれ、画像の各ピクセルの表示やプリントに使用できるカラー情報の量のことをいいます。
- 「ビット数が大きい」とピクセルあたりの情報量の「ビット数が多い」ことになり、デジタル画像をより多くのカラーで再現できるようになります。
- 例えば、
ビット数が1のピクセルは、ブラックまたはホワイトのいずれかですが、
ビット数が8のピクセルは、2の8乗、つまり256の値を取ることができます。 - RGB画像は、R、G、Bの3つのカラーチャンネルで構成されていますが、1ピクセルあたり8ビットのRGB画像では、各チャンネルについて256の値を取ることができるので、約1,677万を超えるカラー値を表現することができます。
- 通常入力した画像では「8Bits/チャンネル」にチェックが入っていますが、微妙な色調補正を行う場合には「16Bits/チャンネル」か「32Bits/チャンネル」に切り替えます。ただし「16Bits/チャンネル」では色調補正やフィルタ、保存形式でかなり制限がありファイルサイズも2倍に増えます。
- 「32Bits/チャンネル」は「32Bitsハイダイナミックレンジ(HDR)画像」対応です。実際の視覚的な世界のダイナミックレンジ(暗い部分と明るい部分の比)を再現し、映画、特殊効果、3D作品、一部のハイエンド写真などで使用されています。
編集後のカラーモード変更で「レイヤーを結合しますか?」と警告が出る理由
さまざまな編集などでレイヤーが増えた後でモード変更すると画面に「モードを変更する前にレイヤーを結合(もしくは 統合/ラスタライズ)しますか?」とのメッセージが表示されます。これにはいくつかの理由があります。
- 互換性の有無
すべてのカラーモードが複数レイヤーや特定のレイヤースタイルと互換性があるわけではありません。たとえば、「モノクロ2階調モード」や「マルチチャンネルモード」などは基本構造が異なるため、複数レイヤーをサポートしていません。 - データの整合性
カラーモードを変更すると「画像データの解釈」が変わります。複数のレイヤーが存在する場合、それぞれのレイヤーが異なるカラー情報を持っている可能性があり、カラーモードの変更によってこれらの情報を正しく統合できないリスクがあります。 - 非破壊的編集が崩れる
Photoshopには「非破壊的編集という機能」があり、レイヤーを使用することで元画像に変更を加えることなく編集を重ねることができます。カラーモードの変更は根本的な変更であり非破壊的編集を維持したままの変更はNGです。
以上により「レイヤーのフラット化(統合)」が必要になり、編集内容によって「統合」「結合」「ラスタライズ」のいずれかの警告がなされます。
「元のカラーモード」と同じカラー値に復元できる?
1度変更したモードを保存後に元のモードに戻そうとしても同じカラー値にはなりません。カラー値はその都度、再計算されます。変換前の画像はバックアップしておくことをオススメします。
「編集後にカラーモードを変換」するときの注意点
モードを変換するタイミングは「編集の(途中からではなく)最後」に行います。モード変換の寸前に編集レイヤーすべてを含む「ドキュメントのコピーを保存」をして元データで再編集できるよう、備えておきます。
もちろん最良のタイミングは、画像ファイルを開いた時点で意図したカラーモードに設定してから編集することです。これで編集レイヤーの統合やエラーを未然に防ぐことができます。