【 ペイント系ツール 】で絵を描き慣れた人がイラレでは上手に描けない問題について
今回は、イラストをPCで描く際に操作するアプリについてお話していきたいと思います。
PhotoshopやSAIなど手描き感覚で描ける「ペイント系アプリ」でイラストを今まで描いてきた人が「ベジェ曲線のキレイな線」で描きたいと思って、Illustratorで描き始めた時に遭遇する問題についてです。
「ペイント系アプリ」に慣れ親しんでいる方は、Illustrator独特の”オブジェクトを重ねる”などの概念には、なかなか馴染めないといいます。
双方、”PCで絵を描く”という点では共通しているものの、操作性が全く違うからです。
例えば左の画像のような口をIllustratorで描く場合、手描き脳で考えると、ペンツールやパスツールを使い点で線を描く発想になるようです。
黒のオブジェクト上に、歯となる白いオブジェクトを手描き感覚で幾つも重ねて描くという「面を塗る感覚」なのでしょうか?
完成さえすれば良いだけの話ですが、どう考えれば『1から描く』という意識の壁から抜け出して、Illustrator独自の機能で効率的に描く感覚が掴めるものか?
ここら辺の捉え方がベジェ曲線を理解する上で必要になって来るのではないかと思います。
↓ ↓ ↓
まずは、Illustratorで下図の見本にあるような口を描く場合を大雑把に説明してみます
1)まずペンツールや鉛筆ツールなどで黒の線を描いてみまます。
2)次に「線幅ツール(バージョンによります)」を使って線に手描き風の強弱を付けます。
ペンツールと線幅ツールで口を描くと、↓こんな感じ↓になります。
Illustratorで「線(オープンパス)」の設定を使うと、線の太さが「最初から最後まで同じ幅」になってしまって手描き線のような「太い部分や細い部分が混在する味のある線」を描くことはできません。
筆タイプの「ブラシ」を使うという手もありますが、こちらも同じで線の太さの強弱を自在に作ることはできません。
手描き風の線にする方法は手順として描画後に線の太さを編集していくことになります。
その上での話ですが例えば、
描きたい画像を下絵として既に用意しておいた上で、それを忠実にトレースしたい場合
1)まずは、口の部分なら黒い丸三角の線をクローズドパス(面)で描きます。
2)その内側の領域に白の塗りを入れます。
3)その上に歯に当たる部分の黒い縦線を描いて乗せます。
これが例えば下絵の用意が無くて「画面上で考えながら描いていく」場合は、黒い部分の線を面で描くかもしれません。
または、線を美しい正確なパスデータで描く必要がない場合には、線を「オートトレース」で起こすという手もあります。
但し、この場合は複合パスなどの設定上の不要なパスやグループ分けが同時に作成されてしまう場合もあるので、パス形成が一瞬で出来上がるとはいっても修正箇所の多数発生による細々とした作業に追われ、かえって時間がかってしまうものなんです。
このように Illustrator の機能は迷路に入り込んだような辛い状況に陥る場合もありますが、ゲーム感覚で(?)色々な機能を楽しみながら試すことが感覚を掴む早道となります。経験を通して理解して行くことによって自然と馴染んでいきます。
以上のことから、Illustratorで「絵を描く」こととは、感覚的に言うと「切り絵する」という理解で良いかと思います。
絵を描くというよりは、「パーツを作って組み合わせる」という感じですから、ペイント系のアプリに慣れ親しんだ人にとって、わかりにくいというのは仕方が無いことなんですね。
逆説的には、絵を紙に自在に描ける基礎デッサン力(スキル)がある上での Illustrator機能の活用ならば、創り出す絵は更にグレードアップされ最強で手堅い魅力を加算していくことに繋がるものです。