【印刷業界の用語】組版・製版・下版・刷版 の意味と使い方について
DTPデザインの完成後は いよいよ お客様に校正を依頼し→ 校了いただき→印刷会社へ入稿、という段取りに入ります。
印刷後のトラブルを避けるために(どんなに急ぎの納期で焦りがあったとしても)あくまで「お客様の責任において」隅々までご確認・納得いただいてから入稿に至ることが大前提となります。
入稿を終えれば、ようやく{印刷開始}となりますが、印刷に至るまでの工程においても様々な用語がありますので、代表的なものを整理しておきたいと思います。
【組版】くみはん
- 入稿された原稿で指定された内容に従って、文字や図版などの要素をページに配置し紙面を構成することです。
- この組版作業は、組み付けとも呼び、書体・文字サイズ・行送り・詰め物・罫線等その他の材料を詳細に入力して、文字を読みやすくするために版を組み合わせる作業をいいます。
【製版】せいはん
- 印刷用の版面を製作する作業全般のことです。フィルムを原稿から作る印刷の前段階の工程を称しています。つまり、印刷のための「原版」を作る作業のことです。
- 版下(原稿)で写真・図・文字などを分解し、撮影してフィルムにして、それを修正し、下版(げはん)に備える作業です。これは下版前の{修正のきく最後の工程}となります。
- 製版は、専門技術職人によって色版等の版が作られますが、版には「活字原版・写真凸版・オフセット版・石版・グラビア版」など様々あります。
【下版】げはん
- 「校了になった版下」や「完成した製版フィルム」を、次の製版工程に回し印刷工程へ下ろすことをいいます。
- 下版すると、次は印刷するための刷版(さっぱん)ができます。
【刷版】さっぱん
- 印刷するための物理的な「印面」で、印刷機に{直接取り付けて使用}する薄いアルミ板のことです。
- 主には、オフセット印刷で基本的な{平版印刷}に使用する{C・M・Y・Kの4色分の版}を指します。
- 版は「ハンコ」のようなもので、1枚の金属板(=PS版:感光液が塗布された製版時に原板の焼き付けができるアルミ板)に”画線部”は親油性・”非画線部”は親水性に化学処理したものを転写し、水と油の反発を用いてインキの”付着する部分”と”しない部分”を区別してインキを刷版に付着させて製造する工程を指す用語で、印刷素材に印刷します。
さいごに
印刷の専門用語の知識を通じて印刷に至る作業を理解すると意外に緻密でデリケートな仕事とわかっていきます。
最近は「PC上でデザインがキレイに出来たら良い制作者」との考えが大半になっていて単にCMYKカラーでデザインさえしておけば美しく印刷されるので、DTPの印刷工程を知らないデザイナーさんも多いです。
DTPソフトのクオリティが充実している現代では「制作・製版・刷版」までもがソフト上で完全にコントロールされて調整が行き届くまでに進化しているのでIllustratorやPhotoshopなどのソフトさえ使えれば、ある意味、誰もがDTPデザインは作れる時代です。
そのため印刷会社へのデータ出稿で、印刷作業への配慮がないデータが送信されるケースが増えていて印刷職人の現場での修正作業も実は増えているそうです。
そういった裏修正は依頼者にはなかなか見えてこない作業ですが、それゆえにデータの送信側は最低限の印刷の知識は持っておいた方が意思疎通がスムーズになって良いようです。何かトラブった時に話が通じやすくなったりしますから。