印刷代金

スポンサーリンク

一度使った「刷版(さっぱん)」は再利用できるの?

以前に刷ってもらった印刷物を後日、同じデザインのまま同じ印刷所に追加発注した場合「版代(はんだい)」は毎回かかってくるものでしょうか?

依頼者側としては前回の刷版を再利用して安価に印刷をお願いたいと考えるのが本音でしょうし、物理的に出来そうな気はしますよね?

ところが再見積りの現実は、新たに「版代制作費込み」での同額となっていることが一般的です。

これは一体どういうことなのでしょう?

まずは問い合わせるのが一番確実ですが何となく聞きづらい内容ではありますので、一般的な印刷現場の諸事情として参考までに、お伝えさせていただこうかと思います。

「刷版」は消耗品

印刷所では最初の工程で「刷版」という印刷機に取り付ける「ハンコ」のようなものを制作します。

この刷版にインクを付けながら印刷紙を回して刷っていくのですが、率直に言って、刷版は版画やゴム印などとは違って一度インクが付いてしまえば使い捨てるしかない ” 消耗品 ” だということです。

例え同一内容の印刷物であっても納品後の再発注でも刷版は使い捨てですから新規に作らざるを得ない繊細な版なのです。

とはいえ、それでは損か?というと、そうでもないのです。

一般家庭で使う「PCプリンター」や コンビニに置いているような「インクカートリッジ式・トナー式プリンター」との比較ですが 、印刷会社での印刷は小ロットでは初期段階で多くのコストが掛かってしまいますが、大ロットでは1枚当たりのコストの安さ・ スピード・ 四方裁断の美しさ、といったトータル面で、やはり軍配が上がりコストダウンに繋がってくるのです。

利益度外視の案件もある

コストに関する話ですが、大ロットを想定した印刷会社が使う大型の機械は、PCプリンターでは対応できないような大量注文が多いので、必然的に出力パワーが強いものばかりです。

そのため初期の調整段階の試し刷りから動き出しの調子が出るまでには結構、不良品が出るようです。

以前ある印刷会社に小ロットでシールの印刷を発注したのですが、 初期の調整段階の試し刷りに加え、使用する1巻のロール紙が結構な長さになるため、ロール紙の半分近くが無駄になったという話です。

どのような業種の仕事であっても共通していることですが、印刷会社としても取引相手(お得意様)との関係性で断ることができない利益度外視の案件もあるそうです。

…というのは簡単ですが、もし私が逆の立場なら到底、引き請けようとは思えない依頼です。現場の職人の方々には頭が下がる思いです。

 

【あわせて読みたいページ】

【 印刷業界:専門用語 vol.2 】組版・製版・下版・刷版…それぞれの意味は?

おすすめの記事