印刷業界では専門用語が多数ありますが、用語の意味がわからないまま雰囲気で打合せや伝達をしていると誤用に気付かず印刷後に思わぬミスが発覚する可能性があります。
ここでは特に慎重を要する校正工程の段階で使用する「校正用語」について解説いたします。
この記事の目次
初稿（しょこう）とは？
初稿とは、依頼者（発注側・クライアント・著者）から最初にもらう原案（下書き原稿・レイアウト案・画像）を指し、受注側のデザイン制作者は初稿をもとに印刷用ファイルを作ります。
ひと昔前の入稿は「手書き原稿」の手渡しや郵送、FAX送信が多く、現代はPCやスマホ等のデバイスにより作成されたWord・Excel・PDFなどの「テキストデータや画像データ」をメール便やメール添付、クラウド上の共有ファイルで「データ入稿」されることが多くなりました。
校正（こうせい）とは？
校正とは、文章やレイアウトの不備を検査して修正する工程を指します。印刷工程に進む前に、制作者から渡された「ゲラ刷り」を見て字句・文書内容・体裁・色彩などを確認し不具合があれば赤字で記入しデザイン制作者に戻して訂正依頼します。
校正には大きく分けて「内校」と「外校」の２種類があります。
ゲラ（ゲラ刷り）とは？
ゲラ・ゲラ刷りとは、校正用にオペレーターが制作物（印刷用ファイル）を普通紙に出力した校正紙・校正刷りを指します。現代では「PDFに書き出したデータ」を受信側がプリントアウトして校正するケースが多いです。
内校（うちこう）とは？
内校とは、ゲラを発注者に渡す前の校正作業を指し、事前に制作側（出版社・デザイン事務所・印刷会社など）の社内で主に編集者やデザイナーが担当し行われます。多くの修正を避けるための重要な確認作業で制作側のデザインチーム内部で色調や誤字脱字などの細部をチェックして修正します。
外校（そとこう）とは？
外校とは、外部の校正者（クライアント側）にゲラを渡し行われる校正です。この段階ではクライアント側にも校正力が求められます。
初校（しょこう）/ 初校出しとは？
最初の校正を初校と呼びます。初校用にゲラ刷りされた用紙そのものを指して初校と呼ぶ場合もあます。
この段階ではテキストの誤りやレイアウトなど多くの修正が加えられる可能性があります。内校が「制作側による原稿とゲラとの照合・修正」に対して、初校は「クライアント都合による内容の変更」が多くを占める場合があります。せっかく苦労して作り上げた部分がポツということもあり得ますがここは割り切るしかありません。
初校戻し（しょこうもどし）とは？
初校戻しとは、依頼者が初校に赤字で修正箇所を書いて制作側に戻すことをいいます。
再校（さいこう）とは？
再校とは「初校戻し」を受け取った制作側が赤字部分を修正して再度、依頼者に出校することを呼びます。依頼主に渡った校正の順から初校、再校、３校、４校…と呼び、複数回にわたり繰り返し校正されることがあります。
校了（こうりょう）とは？
校了とは、最終確認となる校正が完了し「印刷OK、これで印刷にかかるように！」という意味で使います。
「校了に回す」とは？
校了に回すとは、校正が済んだので次の工程（製版）へ校了済みの完全原稿データを渡す、という意味で使います。
責了（せきりょう）とは？
責任校了の略で訂正箇所が少ない最終段階で印刷業者に責任を持たせて修正、校正を完了させることを呼びます。
責了紙（せきりょうし）とは？
責了の承認を得た校正刷りのことです。
どの程度の修正で責了(せきりょう)となるのか？
責了の程度のさじ加減は、制作者側と発注者側（クライアント）との信頼関係の度合いによって変わります。
長年の付き合いで築かれた深い信頼関係があれば、たとえ修正箇所が多くても発注者側から「ここら辺をちょいちょいっと手直しして印刷にまわしてください」とか「後は、いつもの具合でおまかせしますね」という具合に印刷へ進めるのですが、逆に信頼度がソコソコな関係であれば責了に至るまでに完璧に近いところまで確認作業を続けることになり時間がかかる場合があります。
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校正は重要
誤りのある印刷物は信頼を損ないかねません。校正プロセスにはさまざまな種類があり品質向上に重要な役割りを果たします。いかにミスを防ぐか？完成度を高めるために考え抜かれた知恵の結集ともいえます。
校正作業で気を抜くと印刷後に意外なミスが発覚して「しまった！」と後悔しても後の祭り。クレームや刷り直しを避けるにも人の作るものにミスは付きものと肝に銘じて複数人で一字一句、各要素を注意深く校正を重ねることで結果的に依頼者からの信頼を得る近道となります。
