【 製 本 】の 基 本・全体像

プリプレス・プレス・上工程・下工程について

冊子が出来るまでの「全体像」を大まかな流れは下記の通り。

  • 企画 】
    → 【 プリプレス(制作 → 製版 → 刷版 】
    → 【 プレス(印刷 → 折り → 製本 → 断裁)
    → 【 出版 】

※「プリプレス」とは「印刷 (= プレス)」の「前工程( = プリ)」という意味で”印刷を行うための準備工程”のことです。

【 上工程(かみこうてい)※上流 】から【 下工程(しもこうてい)※下流 】へと、後の作業を進めやすいよう”前作業ではこうしておく”という流れがノウハウとして確立されています。

ここでは各工程の意味を わかりやすくするために、あえて【 プレス(印刷 → 折り → 製本 → 断裁)】の工程から専門用語の解説を交えて解説していきます。

紙への面付け・折・断裁・トンボ・断ち落とし・印刷紙の種類 について

「パンフレット」印刷紙面 の 考え方 と 印刷用語

パンフレット中綴じ解説

例えば、最終的に仕上げる冊子を「12頁のパンフレット」と仮定します。

この場合「真ん中でホッチキス止め」となり、印刷紙面の考え方としては、

  1. 裏表で4ページある紙を1枚とするので{3枚印刷}が前提となります。
  2. パンフレットにした時に、ページが順に並ぶよう「ページを配置」を考え、図のように、1ページの横に12ペー ジ・1ページの裏は2ページ…と「面付け」します。
    ※「面付け(めんつけ)」とは、後の製本のことを考えページを配置することです。

これは「左綴じ(ひだりとじ)」の場合の順序ですので「右綴じ」の場合は{裏}表紙・{表}表紙が逆になり、数字もそれぞれ逆になるわけです。

「書籍」印刷紙面 の 考え方 と 印刷用語

「書籍」の解説は、上記「パンフレット」の項より、更に深掘りします。

書籍・平綴じの解説

ここでは対象を「32頁の書籍」と仮定とします。
この場合の{大まかな工程}は、

  1. パンフレットと同じく「面付け」して「印刷」する。
  2. 印刷後の紙は「折り畳み」「不要な部分をカット」する。

という流れになりますが、書籍は パンフレットのように ページを横に繋げなくても良いので「面付け」はしなくとも、ページ順に両面印刷すれば済みそうなものですが、印刷所では1ページずつ刷るということは、まずありえません。

  • 面付け後は、
    版を作り」→「インクを付け」→「大きな原紙に印刷」との工程が{印刷加工の基本}となります。

仮に「面付け」をせずに「1ページずつの印刷」をした場合ですと、100ページの本であれば、100枚の版が必要になり、原紙の1部分しか使わないので、断裁の手数も増えて行きます。

これでは手間がかかる上に資源のムダにもなります。

「面付け」〜「断裁」までの 流れと印刷用語

次に「面付け」〜「断裁」まで の{ 流れ用語 }について更に細かく整理していきます。

  1. まず1枚の版を「4ページ分の面付け(→4面付け)」して、裏表で8ページ分作ります。
  2. 全部で32ページの本を作るので、8版作ることになります。
  3. この時、面付けした1版は「印刷機1台で1度に刷れる単位」ということから「1台」という単位で数えます。
  4. 両面分なので「2台で1枚の紙」ができ上がり、この紙を折って「ひとまとめ」にする事から「(おり)」と呼びますが、4面付けで32ページ分ですので「4折」作ることになります。
  5. この時、紙を折るのは「折機(おりき)」という機械を使います。(手作業ではありません。)
    「折り方」は、折機の種類によって異なるので最初の「面付け」は折機の規格に合わせて、折った時に正しいページ順になるよう設置しておきます。
  • 折った際に折り目が上に来て{袋状}になる折り方は「天袋(てんぶくろ)」と呼び、逆に下に来る折り方は「地袋(じぶくろ)」と呼びます。
  • 字面が{縦書き}の場合はページを右に向かって開くので「右開き」と呼び、 逆の場合は「左開き」と呼びます。

このように本は最終的に綴(と)じるわけで、

  • パンフレット}のような 綴じ方を「中綴じ(なかとじ)」と呼び、
    書籍}のような 折を重ねる綴じ方を「平綴じ(ひらとじ)」と呼びます。

【 印刷用紙のトンボ・裁ち落とし 】について の 考え方 と 印刷用語

印刷した紙には必ず「余分」ができるものです。

この余分は本の「周囲をカット」して紙の端の部分をキレイに揃える為に必要な領域で、あらかじめ余分を含めた印刷をしているものです。

トンボ・トリムマーク

加えて、美しくカットする為には{跡形の残らないカット用の「目印」}が必要になってきます。目印がないと本の内容の印刷だけでは、どこからカットすれば良いか迷ってしまいます。

  • この目印が「トンボ」(ソフトによっては英語名の トリムマーク)と呼ばれるもので、印刷物には必ず付けておきます。
  • この{切り落としの作業}は「断裁」と呼び、大型の「断裁機」でカットします。

ところが、トンボ位置に沿って刃を入れても物理的に、裁断の{ズレ}は完璧には防げません。
本の内容(絵柄)をトンボギリギリの所までに配置しておくと、裁断時の{わずかなズレ}で「白い隙間」ができてしまいます。

断裁位置

  • この{裁断時のズレ}で、できた白地を「白バ(しろば)」と呼びます。
  • 「白バ」を防ぐ為には{ページ端の絵柄・色など}を{断裁線よりも外まで広げて配置}しておくことが重要です。
    ・この処理を「裁ち落とし(たちおとし)」といい、単純な{塗り}なら「塗り足し(ぬりたし)」と呼ぶ。
    ・トンボの{裁ち落とし幅}は、3mmが標準です。
  • {折った辺}の部分を断裁する際には、ページ同士がくっついていると不具合が出る可能性があるので、少し間を空けて配置します。これは「ドブ」といいます。

【 印刷用紙のサイズ 】について の 考え方 と 紙の名称

紙の寸法

さて、ここで ” 印刷の大元 ”になる{JIS(日本)規格}の 印刷用紙について簡単に触れておきます。

まずは、代表的な【 基本サイズ 】を 大別しますと、

  • 【 A系列(A全判・菊判)】 【 B系列(B全判・四六判)】に分類されます。
    各紙サイズは上図「対比表」をご参照ください。

サイズの名称は「A1」で例えると、
A1を半分に断裁するとA2
A2を半分に断裁するとA3
A3を半分に断裁するとA4…という呼称になっています。

そこで、印刷する際の「サイズ選択に必要な考え方は何か?」と問われると「紙のロスをいかに無くすか?」を重要ポイントとして考えるのです。

例えば「A4版の冊子」を作る場合、具体的には、

  • 4面付け」で刷るので{トンボやドブ}の スペースも確保して「A2サイズ+α 」が必要、と考えます。
  • この場合の紙は、「菊判(きくはん)」を{半分}に断裁したサイズが妥当、との考えに至ります。
    (※菊判の半分サイズのことを「菊半裁(きくはんさい)」と呼びます。)
    このように{全紙サイズ以外}では、紙を{断裁}して使います。
  • この2倍の「A1サイズ+α 」なら「菊全(きくぜん)」、
    逆に半分の「A3サイズ+α 」では「菊4裁(きくしさい)」ということです。

ちなみに、B系列では「四六判(しろくはん)」が基準となります。

上記以外にも「ハトロン判」等、様々な原紙がありますので、色数・絵柄・通し枚数など、印刷物の規格を考慮しながら用途によって使い分けていきます。

※【 印刷紙の素材 】には豊富な種類があり、「上・中・下級 印刷紙」・「グラビア紙」・「薄葉紙(うすようし)」・「塗工紙」など、さまざまですが、詳細について書き出すと膨大になってしまいますので、ウィキペディア:紙の寸法 や、メーカーサイトを参照ください。

印刷会社へ出稿した後はどうなってるの?【 製本化までの流れ - vol.2 】へ 続く…

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