印刷製本・出版社は今でも70%以上が「東京」という事実
印刷・製本される「書籍」は今も昔も70%以上が東京で生産されています。
これが「新聞」の生産であれば、全国各地で生産(印刷) して 即配達という流れが一般ですが、「雑誌や単行本などの書籍」となると、生産のほとんどが東京近辺で行われます。
印刷用データの作成段階では著作者の原稿のやりとりやデザインなどの校正をネット上で進められクリエイターの居場所は関係ないのですが、印刷・製本の段階では一箇所の印刷所でまとめて生産した方が安く抑えられます。輸送コストが余分にかかりますが、配送業者のルート整備が万全なため納品のスピード面では速くリアルタイム性に問題ありません。
一見、理想に思える「地域各地での印刷製本」や「地域各地を基点とした流通の実施」は非効率的でコストダウンに繋がらないのが現状です。
日本の出版業界は商品アイテム数が膨大で、日本全国に「出版社」が 約4,000社、「書店」は 約16,000店 存在し「刊行されている定期雑誌」だけでも約3,000誌あります。大手出版社にいたっては「出版社数」の約7割が東京に集中しています。
出版物の流通は原則「取次」経由の出版産業
出版物は一般的に、印刷工場から書店に直接届けるのではありません。いったん出版販売会社という「取次(とりつぎ)」を経由させなければならないルールがあります。取次は本の問屋の役目を果たし、東京の大手2社が全体数の約7割を占めているため、結果的に東京一極集中となっています。
取次を経由させる理由は?
そもそも出版物が全国どこでも同じ価格で販売する理由は、日本の再販売価格維持制度(再販制度)が定価販売を義務付けしているからです。「読者の公平な機会確保」のために更には、雑誌の発売日は同一地区で同時発売が原則で徹底されていますが、これらのルール管理を担っているのが取次というわけです。
地域による運送格差を埋める対策は?
すると東京起点で全国各地の書店へ届けるわけですから所在地によって運送格差が生じてきます。書店が遠方になるほど運搬コストが重荷になり採算面で圧迫されて、出版物の価格に反映されかねない懸念が出てきます。
そこで運搬手段として遠方・各地域への取次の枠を越えた配慮がなされ、各地域の運送会社と契約し共同配送することでコストダウンを図っています。
こういった事情から、出版各社の70%以上は今だ東京に集中しているのが現状です。
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